V2Hは、本当に電気代を減らせるのか。
そして、よく言われる「ロス」はどれくらい現実的なのか。
SNSや口コミでは、
「効率が悪い」「思ったより減らない」という声もあれば、
「夜間買電がほぼゼロになった」という報告もあります。
どちらが正しいのでしょうか。
結論から言えば、
冬季に完全ゼロを安定的に達成するのは簡単ではありません。
しかし、
実測データを見ると、確かな削減効果は確認できます。
今回の記事では、2026年2月19日の実測データをもとに、
・夜間の買電はどれだけ減ったのか
・SOC20%減の実際の意味
・見かけ効率60%台のカラクリ
を、数字で整理します。
感覚ではなく、推測でもなく、
実際に動かした日のデータから検証します。
三重県松阪市での太陽光・EV・V2H運用全体の月次推移や実測まとめは、こちらに整理しています。
まず結論:夜の買電は約6kWh減った
2026年2月19日の実測データです。

● 2月通常夜間(17:00〜翌8:59)の買電平均
→ 7.54kWh ※放電なしの日
● 2月19日 夜間(17:00〜翌8:59)の買電
→ 1.4kWh ※放電した日
差は
約6.1kWh削減

これは明確な事実です。
V2Hは、夜間の買電を確実に減らしています。
ここはブレません。
※一般的なオール電化住宅の冬季夜間消費が
7〜8kWh程度であることを考えると、大幅な削減です。
ではロスは大きいのか?
データ抽出の結果
19日にV2Hが放電した放電量は
→ 7.52kWh
つまり、
家側で観測された放電は7.52kWh
買電削減は約6.1kWh
この差を見ると、
「ロスが大きいのでは?」
と感じるかもしれません。
しかし、ここには2つの視点があります。
視点① 家側から見た削減効果
家の視点ではシンプルです。
通常夜 7.54kWh
V2H夜 1.4kWh
→ 約6kWh削減
この削減が経済効果のベースになります。
ここは利用者目線の数字です。
視点② バッテリー側から見たエネルギー変化
一方で、EVのSOCは約20%減少しました。
アリアの公称容量は66kWhですが、
実際の運用感覚では実効容量は
約58〜62kWh
と考えるのが自然です。
この前提で計算すると
58 × 20% = 11.6kWh
62 × 20% = 12.4kWh
つまり、
SOC20%減=約11.6〜12.4kWh減
に相当します。
見かけ効率が60%台に見える理由
家側で観測された放電量
→ 7.52kWh
SOC側の減少推定
→ 約11.6〜12.4kWh
単純に割ると
7.52 ÷ 11.6 = 約65%
7.52 ÷ 12.4 = 約61%
この夜の見かけ効率は
約61〜65%

に見えます。
※この効率は
SOC表示の減少量(推定)と
家側で観測された放電量を比較した「見かけ値」です。
SOC表示には
・保護マージン
・温度補正
・丸め
が含まれるため、純粋な変換効率とは一致しません。
なぜSOCの減りが大きく見えるのか
考えられる要因は
✔ DC→AC変換ロス
✔ V2H待機電力
✔ バッテリー内部ロス
✔ 微小な売電/買電の出入り
✔ SOC表示の補正や丸め
つまり、
SOC%だけを見ると
実際よりロスが大きく見える可能性があります。
一般家庭・行政・企業それぞれの視点

● 一般家庭
→ 夜間買電が約6kWh減るという事実が重要
● 行政
→ 冬季夜間ピーク削減効果として定量化可能
● 企業
→ 実運用での実効効率は60〜80%レンジで推移する可能性
同じデータでも、
見る立場によって意味が変わります。
今回の整理
✔ 夜間買電 7.54 → 1.4kWh
✔ 約6kWh削減
✔ 夜間放電 7.52kWh
✔ SOC20%減=約11.6〜12.4kWh
✔ 見かけ効率 約61〜65%
✔ SOC表示だけでロスを断定してはいけない
なお、この日は理想的に近い運用日であり、
常に同じ結果が出るとは限りません
V2Hは魔法ではありません。
ロスは存在します。
しかし、
実測では夜間買電が約6kWh削減されました。
これは体感ではなく、数字です。
SOCの減少だけを見ると効率が悪く見えることもありますが、
エネルギーの流れを分解すると、見え方は変わります。
導入を判断するには、
・季節
・発電量
・運用方法
・家庭の消費特性
これらを含めて総合的に見る必要があります。
今回は2月のデータでした。
春〜夏の発電条件では、また違った結果になる可能性があります。
なお、電力計の計測特性上、
売電と買電の切り替え時には微量の買電が発生することがあり、
厳密な意味での「完全ゼロ」は非常に難しいと考えられます。
今後も定期的に実測データを公開し、
感覚ではなく、数字で積み上げていきます。

